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沖縄県の最低賃金が1,086円へ|事業者が今から備えるべきポイント

  • 執筆者の写真: 仲宗根 隼人
    仲宗根 隼人
  • 5 時間前
  • 読了時間: 5分

 

 沖縄県の最低賃金について、2026年度は現在の時給1,023円から63円引き上げ、1,086円とする答申が行われました。新しい最低賃金は、2026年12月2日から適用される予定です。発効直前になって慌てないよう、今のうちから対象者の確認や賃金の見直しを進めておきましょう。


最低賃金はパート・アルバイトだけではありません

 最低賃金というと、時給制のパートやアルバイトだけを確認すればよいと思われがちですが、そうではありません。最低賃金は、原則として沖縄県内の事業場で働く、正社員、契約社員、外国人労働者、パート、アルバイトなど、雇用形態や国籍にかかわらず適用されます。そのため、月給制の正社員についても、月給を時間額に換算して最低賃金を下回っていないか確認する必要があります。


月給制は「月給額」だけで判断できません

 月給制の場合は、最低賃金の対象となる月額賃金を「1か月平均所定労働時間」で割って、時間額に換算します。ここで重要なのが、同じ1日8時間勤務でも、会社の休日数によって最低賃金をクリアするために必要な月給額が変わるという点です。

例えば、最低賃金が1,086円になった場合、次のようになります。

休日の設定例

年間所定労働日数の目安

月平均所定労働時間

最低賃金を確保する月額の目安

土日祝+年末年始5日休み

約241日

約160.67時間

約174,484円

週休2日のみ

約261日

約174時間

約188,964円

 つまり、土日祝日や年末年始まで休日になっている会社では、最低賃金に算入できる月給が17万5,000円前後あれば一つの目安になります。一方、週休2日のみで祝日や年末年始も通常の所定労働日となっている会社では、最低賃金を確保するために19万円近い月給が必要になります。


同じ「月給18万円」でも結果が変わります

例えば、最低賃金に算入できる賃金が月額180,000円の場合を比べてみます。

土日祝・年末年始休みの会社では、

180,000円 ÷ 160.67時間 = 約1,120円

となり、最低賃金1,086円を上回ります。

一方、週休2日のみの会社では、

180,000円 ÷ 174時間 = 約1,034円

となり、最低賃金を下回ります。


つまり、

「月給18万円だから最低賃金は大丈夫」とは判断できません。

自社の月給者が最低賃金付近かどうかを感覚的に確認するなら、1日8時間勤務の場合、おおむね次のように考えると分かりやすいでしょう。

  • 土日祝・年末年始休み → 月給17万5,000円前後は要確認

  • 年間休日120日前後 → 月給18万円前後は要確認

  • 週休2日のみ → 月給19万円未満は特に要確認

特に、基本給が17万円台から18万円台の正社員がいる事業所は、今回の改定を機に、一度時間額換算を行うことをおすすめします。

なお、上記は1日8時間勤務を前提とした目安です。実際には、自社の年間休日カレンダーをもとに年間所定労働時間を算出し、正確に確認する必要があります。


「総支給額」が高ければよいわけではありません

最低賃金を確認するときは、給与明細の総支給額をそのまま使うわけではありません。

代表的なものとして、次の賃金は最低賃金の計算から除外されます。

  • 通勤手当

  • 家族手当

  • 精皆勤手当

  • 賞与

  • 時間外労働に対する割増賃金

  • 休日労働に対する割増賃金

  • 深夜労働に対する割増部分

例えば、

  • 基本給 170,000円

  • 通勤手当 10,000円

  • 総支給額 180,000円

という従業員がいた場合でも、通勤手当は最低賃金の計算には含まれません。

そのため、最低賃金の判定では基本給170,000円を基準に確認する必要があります。

また、固定残業代を支給している場合も、固定残業代部分を最低賃金の不足分に充てることはできません。

一方、職務手当や資格手当など、毎月固定的に支給される手当は、その性質によって最低賃金の計算に含まれる場合があります。

「総支給額が高いから大丈夫」と判断せず、最低賃金に算入できる賃金だけを取り出して確認することが重要です。


最低賃金ぎりぎりの人だけ上げればよいとは限りません

今回の改定で注意したいのが、従業員間の賃金バランスです。

例えば、

新人:1,023円

経験3年:1,070円

リーダー:1,100円

という賃金体系だったとします。

新人を最低賃金に合わせて1,086円に引き上げると、経験3年の従業員より新人の方が高くなってしまいます。

そのため、実際には新人だけでなく、経験者やリーダー層についても一定の賃上げを検討しなければ、従業員間の納得感を維持できない場合があります。

最低賃金の引上げが続く中では、単に最低ラインだけを修正するのではなく、勤続年数、能力、資格、役職などに応じた賃金差が適切かという視点で、賃金表全体を見直すことも重要です。


パート従業員の「年収の壁」にも影響

 最低賃金が上がることで、パート従業員は同じ時間働いていても年間収入が増加します。その結果、扶養の範囲内で働くことを希望する従業員から、「勤務時間を減らしたい」という申し出が出る可能性もあります。最低賃金の引上げは会社の人件費だけでなく、勤務時間の減少による人員不足につながる場合があります。

 特に年末に向けて勤務時間を調整する従業員が多い事業所では、早めに今後の働き方について確認しておくとよいでしょう。


12月になる前に確認しておきましょう

 沖縄県の最低賃金は、2026年度は現在の1,023円から1,086円へ63円引き上げられる予定です。事業者の皆さまには、発効直前になって慌てないよう、今のうちから次の点を確認しておくことをおすすめします。

  1. 全従業員の賃金を時間額に換算する

  2. 最低賃金に含まれない手当を除いて確認する

  3. 月給制社員についても確認する

  4. 自社の年間所定労働時間を確認する

  5. 従業員間の賃金バランスを確認する

  6. 求人票・雇用契約書・給与ソフトを見直す


 最低賃金への対応は、単なる「時給の変更」だけではありません。特に月給制の場合は、休日数が少ない事業所ほど、最低賃金を確保するために必要な月給額が高くなることに注意が必要です。今回の改定を機に、自社の賃金体系、人件費、採用条件をあらためて確認しておきましょう。最低賃金に関するご相談は、アクティア総合事務所にお気軽にお問合せください。

 
 

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