カスハラ・就活セクハラ防止は企業の義務に
- 仲宗根 隼人
- 3 日前
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2025年6月、労働施策総合推進法と男女雇用機会均等法が改正され、カスタマーハラスメント(カスハラ)や就活セクハラへの対応がすべての事業主にとって「義務」となりました。これまでも指針等で防止措置が求められていましたが、今回の改正により、法的な義務として位置付けられた点が大きな変化です。
1.なぜ今、法改正が必要だったのか?
カスハラや就活セクハラは、労働者に深刻な精神的負荷を与え、職場環境を悪化させる要因となっています。特に、接客業や医療福祉分野では「顧客からの悪質な言動によって退職者が出る」といった問題も発生しており、企業の人材確保にも影響を与えかねません。また、インターンや面接といった採用の場面で、応募者に対する不適切な言動が起きれば、企業の信頼性そのものが損なわれることになります。
2.企業が取り組むべき具体的事項
改正法では、次のような取り組みをすべての企業に義務付けています。
① カスタマーハラスメント対策
カスハラ防止に関する方針の明確化(就業規則や社内規程への明記)
相談窓口の設置と、苦情受付・対応フローの整備
カスハラ事案に対する迅速・適切な対応(事実確認・再発防止策の実施)
従業員への研修や啓発活動の実施(特に対人業務担当者)
② 就活セクハラ防止対策
採用選考・インターン時の適切な言動ルールの整備
応募者・学生からの相談対応体制の構築
採用担当者への教育・指導の実施
③ ハラスメント意識の啓発
管理職への研修や意識づけの強化
社内ポスター・掲示物等による継続的な啓発
社員同士の声かけやチーム内の風通し改善
3.実務上の注意点
単なる相談窓口の設置では不十分です。相談の受付から対応、事後フォローまで一連の対応マニュアルが必要です。
「顧客第一主義」と「従業員の尊厳保護」は両立できます。明確な線引きとルールが重要です。
採用面接時の言動は特に慎重に。容姿・家庭・出産希望など、プライバシーに踏み込む質問はトラブルの元です。
これらの改正内容は、遅くとも2026年半ばまでに施行予定とされており、今から準備を進めることが重要です。法令対応だけでなく、「従業員が安心して働ける職場づくり」「応募者が安心して選考を受けられる環境づくり」は、企業の信頼・人材定着に直結します。
アクティア総合事務所では、カスハラ・ハラスメント対策に関する就業規則の改訂、社内研修の企画支援、対応マニュアルの作成等を承っております。どうぞお気軽にご相談ください。