
毎月の給与にかかる保険料の他に、賞与を支給した場合にも健康保険・厚生年金保険料がかかります。
賞与とは
支給時期や金額、計算方法など、どのような形で賞与を支給しているか企業によって様々です。法令では、「賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が労働の対償として受けるすべてのもののうち、3か月を超える期間ごとに受けるものをいう」と定義されています。
例えば、夏、冬、決算期末の年3回支払われているボーナスは、ここでいう賞与の定義に入りますが、さらにもう1回、何らかの名目でまとまった額の賃金が支払われる場合は、賞与の定義から外れます。
標準賞与額の決定
法が定める定義に該当する賞与を支給した場合、賞与支払日から5日以内に、「被保険者賞与支払届」を提出する必要があります。年金事務所は、どの事業所がいつ誰に賞与を支払ったかを把握することはできませんので、事業者からの届出によって保険料を賦課することになっています。
支払った賞与額から1,000円未満の端数を切り捨てた額が「標準賞与額」として決定されます。この額に、保険料率を乗じて保険料を計算します。保険料負担は、被保険者と事業主の折半ですが、保険料が賦課される額には上限が設定されています。
企業の中には、1,000万円単位の高額な賞与を支給していることがあります。社会保険料は、健康保険と厚生年金で構成されていますが、厚生年金については、将来受給する年金額に反映される仕組みです。賞与全額に保険料を賦課すると、将来受給する年金額にも大きな格差が生じることになります。現役時代の報酬には個人差があるとはいえ、年金は国が運営する公的な社会保障という性質がありますから、無制限に差を生じさせることは問題があります。
保険料がかかる賞与の上限額は、年度(4月1日~3月31日)の支給累計額が573万円です。例えば、夏に300万円、冬に300万円支払う事業所の場合、保険料がかかるのは夏については全額、冬は273万円までということになります。