日本に滞在する外国人は、入管法が定める在留資格を有している必要がありますが、この入管法が適用されない外国人もいます。それが、日本に駐留している米軍関係者です。米軍関係者は、日米地位協定(Status of Forces Agreement)を在留の根拠としており、通称SOFA(ソーファステイタス)と呼ばれています。
米軍人関係者は就労可能
沖縄県には米軍関係施設が多く、軍人だけでなくその家族や軍属など、多くのアメリカ人が居住しています。その中には、米軍施設内だけでなく、基地の外の日本の事業所で働くことを希望する者もいます。宜野湾市、嘉手納町、北谷町、沖縄市など、大規模な米軍基地に隣接する地域では、基地周辺の飲食店や英語教室、フィットネスジムなどで働く米軍関係者も見られます。
多くの事業主は、「外国人が日本で働くには就労ビザが必要なのでは?」という疑問を抱くかもしれません。しかし、米軍関係者には入管法が適用されないため、特別な手続きなしに日本の企業で働くことができるのです。就労時間に制限もありません。
注意点として、SOFAステイタスで滞在している期間に限りこの特例が適用されるため、例えば軍人が退役した場合、その本人や家族は入管法の適用対象となります。この場合、軍籍を離脱した日から60日以内に日本の在留資格を取得する必要があります。
社会保険の加入義務
日本の事業所で就労する場合、日本の労働関係法令が適用されます。社会保険適用事業所で被保険者の要件を満たす働き方をしている場合、加入義務が発生します。
通常、資格取得手続きには年金番号やマイナンバーが必要ですが、SOFA適用者には日本での住所登録がないため、マイナンバーや年金番号を持っていません。そのため、資格取得届に「マイナンバーなし」と記載し、SOFAの身分が確認できる書類(パスポート、SOFAスタンプ押印欄)を添付する必要があります。
雇用保険、労災保険の加入義務
雇用保険も、社会保険と同様に適用事業所で就労している場合、加入義務があります。新規で資格を取得する際には、被保険者番号が付与されます。
また、労災保険も保護の対象です。日本人と同様に個別の資格取得手続きはありませんが、年に一度行われる労働保険年度更新時には、SOFA適用者の賃金も労働保険の賃金総額に算入する必要があります。
給与計算の注意点
SOFA適用者は非居住者扱いとなるため、源泉所得税は一律20%です。給与計算時にはこの点に注意が必要です。
------------------------------------------------------------------------
米軍関係者働ける?保険は?沖縄県那覇市の社会保険労務士、仲宗根隼人が解説しました。健康保険法や雇用保険法、労災保険法といった日本の労働保険関係法令は、SOFA適用者のような入管法の適用外で就労可能な人を想定していません。しかし、各法令における適用除外事由に該当しないため、保険も被保険者として加入義務が発生します。外国人雇用や労務管理に関しては、アクティア総合事務所にお気軽にご相談ください。
留言