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  • 執筆者の写真隼人 仲宗根

労働基準法の基礎知識⑫ 休業手当

更新日:2023年11月29日

 事業経営上の理由など、使用者側の一方的な都合による休業によって、労働者が休業せざるを得ない状況になった場合、労働者の生活を保障する観点から、使用者に「休業手当」の支払い義務が生じることがあります。

 

 労災保険では、労働者が業務や通勤に起因する傷病等で休業した場合、保険者(国)から休業補償が支払われます。労働者が休業した場合の生活保障という趣旨では共通する点があります。労災保険の場合は保険者である国から給付がなされますから、使用者が直接的にお金を支払うことがありません。これに対して、休業手当は、使用者が直接労働者に支払う義務が生じます。


 労働基準法は、使用者の責めに帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならないと定めます。

 休業とは、労働者が労働契約上の労働義務に従って労働力の提供をなしうる体制にあり、かつ、その意思を有していたにもかかわらず労働することが不可能となった場合をさします。使用者の責めに帰すべき事由とは、経営、管理上の障害が含まれますが、天災などの不可抗力は含まれません。例えば、お客さんの入り具合などによって、「暇になったから今日は帰っていいよ」などといった場合、本来勤務すべきであった残りの時間分については、休業手当を支払わなければならないということです。他にも、以下の事例では休業手当の支給義務が生じると考えられます。

 ・親工場の経営難から、下請け工場が資材や資金の獲得ができず休業に至った場合

 ・使用者が健康診断の結果を無視して、就労可能にもかかわらず休業させた場合

 ・即時解雇を伝え、その解雇の効力が生じるまでの間(30日)に労働者が休業した場合

 ・新規学卒採用内定者に自宅待機の措置をとって休業させた場合


 業務の状況によってシフト組をしたり、人材を配置することがありますが、使用者の一方的な都合で休ませたり、早退させたりすることは、本来得られるはずであった賃金が得られないことになってしまい、労働者の生活がおびやかされてしまうおそれがあるため、労働基準法は休業手当の制度を設けることで、労働者の生活安定を図ろうとしています。

 

 労働契約で定めた時間や労働日に休業した場合であれば、いくらでも休業手当を支払う義務が生じるとなると、使用者に過大な負担となってしまいます。以下の場合には、休業手当の支給義務は生じません。ノーワークノーペイの原則です。

 ・天災地変等による休業 

 ・労働者の責めに帰すべき事由による休業の場合

 ・正当な争議行為(ロックアウト)による休業の場合

 ・健康診断の結果に基づいて使用者が労働時間を短縮させた場合

 ・不可抗力による休業

 ・停電による休業


 休業手当の支給額は、原則として平均賃金の100分の60以上です。労働日の一部のみ休業した場合には、実際に支給された賃金が平均賃金の100分の60に達しない場合、実支給額と100分の60との差額を支払う義務があります。

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