賃金支払いの五原則
給与は、「通貨」で「直接」、「全額」を「月に一回以上」「定期に」支払わなければならないという法の定めがあります。税や社会保険料、労使協定により一部控除することが認められていますが、原則としてこの五原則に反することはできません。多くの会社は毎月の給料日に働いた分の給与を支払っていますので、この原則に反していることは普通ありませんが、給与計算の難しさは、これらの原則以外にあります。
完全ではない法
「手当」「年休処理」「現物」「分単位」「歩合」「マイナス支給」
「前借」「欠勤控除」「途中入社・退社」「福利」―
これらの項目のほとんどは労基法上に一部規程があるものの、多くは「就業規則(賃金規程)」で定めてよいとされています。大ざっぱに言うと会社で決めて、社員の意見を聞き労基署に届ければそれでよいということです。この「会社で決めてよい」部分が給与担当者を惑わせます。例えば、
月途中入社の月給者で家族手当や通勤手当、資格手当がある。10日勤務した。基本給は20万。残業、欠勤、遅刻早退あり。優秀な営業さんで、歩合給が30万だった―。どう計算したらよいでしょうか。
尽きない疑問
10日分の基本給は、20万から控除したら良いのか、出勤した日額だけを計算したら良いのか。日額は暦日で割るのか、所定勤務日数で割るのか。手当は満額支給するのか。残業計算や欠勤控除の時間単価には歩合給は入れるのか。。
すべて賃金規程に網羅されていれば問題ありませんが、規程にない手当を支給していたり、想定外な働き方をしていたりすると、答えがない状態に陥ります。自社の就業規則や賃金規程が、社員の働き方と給与の支払い方法をカバーできているのか、日頃から確認しておくことが重要です。
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給与計算の難しさについて、沖縄県那覇市の社会保険労務士、仲宗根隼人が解説しました。労務管理は、アクティア総合事務所にお気軽にご相談ください。