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  • 執筆者の写真隼人 仲宗根

労災保険法① 給付の種類と適用事業

更新日:2023年11月27日

 労働者の業務上の災害については、使用者が一定額の補償をすることが労働基準法で定められています。法律上は事業主に補償責任があるのです。しかし、すべての業務上の災害を事業主に補償させるとなると、事業主の負担は相当大きいものになり、事業を営むことそのものができないことに繋がりかねません。そこで、事業主に代わって災害補償をしてくれる制度が、労働者災害補償保険です。労働基準法に規定する災害補償の事由について、労災保険から保険給付がなされることで、事業主は災害補償責任を免責される仕組みです。


 労災保険には、大きく分けて「保険給付」と「社会復帰促進等事業」があります。保険給付はさらに、①業務災害、②複数業務要因災害、③通勤災害、④二次健康診断等給付に区別されます。社会復帰促進等事業とは、労働者が業務災害にあった場合、療養のためのリハビリテーションの事業や、遺族が就学することを援護したりする事業などで、労働者の社会生活復帰のためのたくさんの事業が行われています。


 労働者を一人でも使用している事業であれば、原則としてが労災保険が適用されます。常用労働者に限られませんから、臨時使用やパート労働者でも該当します。強制適用事業といいます。(国家公務員や地方公務員には、別の保険がありますので、労災保険は適用されません)

 例外的に、常時5人未満の労働者を使用する事業で、以下の事業は強制適用ではありません。

 ①土地の耕作若しくは開墾又は植物の植栽、栽培、採取若しくは伐採の事業その他農林の事業

 ②動物の飼育又は水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他畜産、養蚕又は水産の事業

 

 一般的な農業や水産業で5人未満の事業は、労災保険の強制適用事業ではありませんが、任意に適用を申請することができます。暫定任意適用事業といいます。


 適用事業で使用される労働者であれば、労災保険の適用対象です。労働者の定義は、労働基準法で定める労働者の定義と同じです。雇用形態や賃金形態は問われません。日雇い、アルバイト、パートタイマーなども適用対象です。また、テレワークなど、会社を離れた場所で就労するような場合でも労災は適用されます。また、国籍の制限もありませんから、外国人労働者にも適用されます。外国人労働者が日本で就労するためには、就労可能な在留資格が必要ですが、仮に就労可能資格を有していない外国人労働者のように、違法就労であったとしても、労災保険は適用されます。また、二以上の事業に使用される場合、それぞれの事業の労働時間数に関わらず、それぞれの事業において適用があります。

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