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  • 執筆者の写真隼人 仲宗根

労災保険法② 保険事故

更新日:2023年11月27日

 保険者(労災保険の保険者は国です)が保険給付を支給することになる原因のことを、保険事故といいます。大きく分けて、業務災害、複数業務要因災害、通勤災害が保険事故です。

 業務災害とは、文字通り業務が原因となって起きた負傷、疾病、傷害、死亡をいいます。業務が原因といっても、その判断は難しいことがありえます。判断基準は、業務と事故との間に相当因果関係があるかという点です。業務については、社員が労働契約に基づいて、事業主の支配下にあるかどうかが問われます。「業務遂行性」といいます。また、負傷や障害、死亡について、業務に通常伴う危険が具体化したことにより生じたということが要件です。「業務起因性」といいます。


 業務遂行性と業務起因性が認められる場合、労災保険法上の保険事故である「業務上の負傷、死亡」となりえます。具体的には、事業主の支配下にあり、かつ、その管理下にあって業務に従事している際に生じた災害です。特段の事情がなければ、業務災害と認められます。

 逆に、特段の事情があれば、業務災害と認められないことがありえます。例えば、労働者が故意に災害を生じさせた場合や、天災地変による被災、本人の私的逸脱行為が原因である場合、個人的な怨恨などから暴行を受けた場合などがこれにあたります。


 通常、労災と認定されるか否かは、所轄庁である労働基準監督署が行いますが、これについて争いが生じた場合には、最終的には裁判によって判断されます。争いが起こりやすい例として、もともと本人の持病によるものであった場合や、自殺の場合などです。特に、長時間労働が原因で精神疾患を発症し、自殺に至った場合などは、労働基準監督署では労災と認定されず、訴訟に発展する例があります。労基署では労災と認定されなかった事案が、最終的に裁判では労災と認定されるケースもあります。

 

 事業主が留意しておかなければならないこととして、労働者が自殺等により死亡した場合、労基署や裁判で労災と認定されなかったとしても、これとは別に、遺族が使用者に対して損害賠償請求がなされる場合があることです。過去には、裁判で労災とは認められなかったものの、使用者に対する損害賠償が認められた裁判例もあります。

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