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  • 執筆者の写真隼人 仲宗根

労働基準法の基礎知識⑩ 賃金(2)

 労務管理を行う中で、社員の平均賃金を算出する必要な場面が多くあります。例えば、有給休暇を取得した場合に支払うべき賃金や、会社の都合で従業員を休業させた場合に支払うべき休業手当などです。他にも、業務上でケガをしたり、病気にかかったりした場合に支払う休業補償も、平均賃金をもとに算出します。


 平均賃金の算出については、任意に対象期間や算入すべき賃金を定めることはできません。労働基準法では、次のように定めています。

 

 労働基準法第十二条(前段)

 この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前三箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。


 平均賃金を算定すべき対象期間は、3か月と定めています。ざっくり言うと、直近3か月に支払った総額を、その総日数で割ったものが平均賃金です。この平均賃金日額をもとに、有給休暇を取得した社員に休暇分の賃金を支払ったり、会社都合で休ませた社員に休業手当を支払うということになります。(※有給休暇の賃金は、通常支払うべき賃金、健康保険の標準報酬月額を用いる計算も認められています)

 

 対象期間の直近3か月について、除かれる期間と、算入されない賃金が定められています。以下の期間は、この対象期間から除きます。


 ・業務上の傷病による休業期間

 ・産前産後の休業期間

 ・使用者の責めに帰すべき休業期間

 ・育児介護休業期間

 ・試用期間


 以下の賃金は、平均賃金を算定すべき賃金総額から除かれます。


 ・臨時に支払われた賃金

 ・3か月を超える期間ごとに支払われる賃金(通勤手当は算入される)


 直近の3か月に、たまたま大入りで臨時に支給した賃金があった場合、それを対象賃金に参入すると、本来の平均よりかけ離れたものになってしまいます。また、この期間に賞与が支払われた場合も同様です。実態としての平均により近いものとなるよう、これらの賃金は除かれることとされているのです。


 「直近3か月」の起算日については、平均賃金を計算するきっかけとなった事案に応じて、場面ごとに異なり、原則として以下の日が起算日と定められています。

  

 ・解雇予告手当 → 社員に解雇の通告をした日

 ・休業手当   → 休業の初日

 ・有給休暇   → 当該年次有給休暇を与えた日

 ・災害補償   → 死傷の原因となる事故が発生した日又は疾病の診断が確定した日

 ・減給制裁   → 社員に制裁の通知をした日


 但し、それぞれの日ごとを起算日とすると、賃金の締め日や支給日との関係から、日割り計算をすることが煩雑になることがありえるため、賃金締め切り日を定めている場合には、直前の賃金締め切り日を起算日とすることとされています。


 賃金が月給制で支払われている場合には、直近3か月の賃金をその総日数で割ることで日額を求めますが、日給制や時給制、出来高制で支払っている場合にこの計算を行うと、平均賃金額が少額になってしまいます。このため、最低保証額が定められており、以下のような計算で算出します。

 

  賃金総額÷その期間中に就労した日数×60%


 なお、入社間もないうちに算定事由が発生した場合など、対象期間が3か月未満である場合には、入社日(働き始めた日)から起算することとして問題ありません。

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