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  • 執筆者の写真隼人 仲宗根

労働基準法の基礎知識⑨ 賃金(1)

 賃金は、当然ながら労働者の生活の基盤を支える重要なものです。憲法第27条では、勤労の権利と義務を定めています。憲法の要請に基づいて、労働基準法や最低賃金法が賃金に関する定めをしています。 

 

  (憲法第27条)

  1. すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。

  2. 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。

  3. 児童は、これを酷使してはならない。

 

 労使関係では、一般的に使用者側が優位に立つことがありえます。使用者側にとって一方的に有利な労働条件を示し、労働者にとって不利な状況にならないよう、賃金については特に多くの制限があります。


 まず、賃金の定義についてです。「賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対象として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう」と定められています。この定義に該当する例として、以下のものが挙げられます。


・基本給、固定給等基本賃金 休業手当

・有給休暇日の給与

・超過勤務手当、深夜手当、 休日手当、宿直 ・ 日直手当

・遡って昇給した賃金

・扶養手当、家族手当等 食事、被服、住居の利益

・通勤手当(通勤定期券)

・年4回以上支給される賞与

・住宅手当、物価手当

・離職後に支払われた未払い賃金

・単身赴任手当、勤務地手当

・精勤手当、皆勤手当

・労働協約等によって事業主に支払いが義務付けられた所得税

・社会保険料等の労働者負担分

・技術手当、職階手当 特別作業手当、能率給 転勤休暇手当

・受験手当(実費弁償的でないもの)

・傷病手当支給終了後に事業主から支給される給与及び傷病手当

  

 企業によっては、様々な手当を支給していることがありますが、賃金に該当するかどうかは、上記の定義に当てはめて判断されることになります。


 会社が社員に何らかの名目で金銭を支払っていたとしても、労基法上の定義から外れるものは、賃金に該当しないということになります。例えば、以下のものが挙げられます。


 ①任意的、恩恵的給付(結婚祝い金、病気見舞い金、退職金など)

  →但し、労働協約、就業規則、労働契約などによって支給条件が明確にされており、使

   用者に支払い義務があるものは賃金になります。

 ②作業服、出張旅費、交際費等

 ③解雇予告手当

 ④ストックオプション


 賃金に該当するか否かは、労基法上の定義の他、①のように会社が定める就業規則等にも左右されることになります。他にも、従業員が顧客から直接受け取るチップも賃金にはなりませんが、使用者がそのチップを一旦集め、後日給与と一緒に支払うような場合は賃金に該当します。


 賃金の定義を明確に理解しておくことは、労務管理上非常に重要です。例えば、休業手当を支払うにあたって、賃金日額の計算を行う必要が生じた場合、どの手当を賃金として計算するかの線引きによって、支払うべき金額に差が生じてくることがあります。

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