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  • 執筆者の写真隼人 仲宗根

労働基準法の基礎知識⑦ 労働契約の規制(4)

 使用者は、労働契約の締結に際して、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければなりません。この場合、賃金及び労働時間に関する事項その他厚労省令で定める事項については、原則として書面の交付により明示しなければなりません。


 一般的に、求人情報を公開して労働者がこれに応募し、採用に至った場合、求人票に示されている事柄だけを提示するのみで、雇用を開始させる事業者は少なくありませんが、求人票記載の労働条件のみを提示するだけでは、労働基準法上の義務を果たしたことにはならないのです。


 労働基準法上、明示すべき事項は次のとおりです。

①労働契約の期間に関する事項

②期間の定めがある労働契約を更新する場合の基準

③就業の場所及び従事すべき業務(雇い入れ直後に係る業務)

④始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合の就業時転換に関する事項

⑤賃金(昇給、退職手当、臨時の賃金、賞与等を除く)に関する事項

⑥退職に関する事項(解雇の事由を含む)

以上の事項は、書面の交付が義務です。


⑦昇給、退職手当、臨時の賃金、賞与等に関する事項

⑧労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項

⑨安全及び衛星に関する事項

⑩職業訓練に関する事項

⑪災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項

⑫表彰及び制裁に関する事項

⑬休職に関する事項

以上の⑦~⑬については、口頭による提示でも可能です。


また、明示すべき労働条件については、必ず明示すべきとされている「絶対的明示事項」があります。上記の書面交付義務がある事項に加え、⑦の昇給に関する事項がこれに含まれます。


上記⑦の昇給を除く事項と、⑧~⑬の事項は、その定めをする場合には明示すべきとされています。「相対的明示事項」といいます。


労働条件の明示は、労働者の生活に直結する重要な事柄です。労働基準法で定めるこれらの最低限の義務を満たしたうえで、社会保険関係や各種インセンティブ、扶養家族や通勤に関する事柄など、さまざまな労働条件を追加で提示することが大切です。

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