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  • 執筆者の写真隼人 仲宗根

健康保険法⑦ 被扶養者(2)

「扶養」には、健康保険法上の扶養と税法上の扶養で基準が異なるため、紛らわしく間違いが起こりやすいところです。健康保険の被扶養者として認定されるための基準は、年収130万円未満(60歳以上又は一定の障害者は180万円)です。税法上の扶養は年収103万円以下です。

 

 扶養の基準となる年収額は一般的に広く知られていますが、注意すべき細かな基準があります。まず、年収の範囲です。パート等で就労している場合、税金や保険料控除前の総支給額が対象です。通勤手当等も対象になります。

 また、雇用保険の失業等給付、公的年金、健康保険の傷病手当金や出産手当金も含みます。失業給付を受ける場合、基本手当日額が3,612円以上になると、年収130万円以上(3,612×360=1,300,320)の計算になります。ややこしいのが、失業等給付の場合、受給できる見込み額で決まるのではなく、日額×360で年収が判断されることです。例えば、日額3,700円の人で給付日数が90日の人の場合、受給見込額は333,000円で130万円にはとうてい及びません。そうすると、年収130万円にならないから健康保険の扶養に入れそうに見えます。ですが、健康保険の扶養の年収基準は、1月1日から12月31日の1年間における実際の収入金額ではなく、扶養となる時点から将来に向かって得られるであろうと推定される金額をいいます。従って、例の人の場合は、3,700円×360=1,332,000円と判断され、健康保険の扶養には入れないのです。フルタイムで就労していた人が退職した場合、基本手当日額3,612円の基準は、ほとんど超えてしまいますので注意が必要です。


 また、認定対象者と被保険者が同居か別居かでも基準が異なります。同居の場合、認定対象者の年間収入が130万円未満であって、かつ、被保険者の年間収入の2分の1未満である場合は被扶養者となります。(この要件に該当しない場合であっても、認定対象者の年間収入が130万円未満であって、かつ、被保険者の年間収入を上回らない場合には、その世帯の生計の状況を果たしていると認められるときは、被扶養者となる場合があります)

 別居の場合、認定対象者の年間収入が130万円未満であって、かつ、被保険者からの援助による収入額より少ない場合には、被扶養者となります。別居の場合、被保険者から援助を受けていない場合には被扶養者になりません。 


 健康保険の扶養になると、保険料の支払い義務がありません。税法上の扶養になると、扶養控除の対象となるため生計維持者の税額が減額されます。このため、家計の負担が大きくならないよう「扶養の範囲内で働きたい」と考える方が多くいます。ですが、少子高齢化や逼迫した医療財政の状況などから、政府は社会保険の適用範囲を拡大しています。

 2022年10月より、従業員数(被保険者数)101人以上で、週所定時間が20時間以上、賃金が月額88,000円以上、2か月を超えて雇用される学生でない者は社会保険の加入義務が生じています。また、2024年10月には適用範囲がさらに広がり、常時50人以上の被保険者がいる事業所も対象になります。

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